熱中症に負けない為の中医学の知恵

熱中症の女性

熱中症を防ぐ中医学の方法

熱中症とは

熱中症とは、暑くて湿っぽいところにいると、体の温度が上がりすぎて、具合が悪くなることです。外で遊んでいるときだけでなく、家でゴロゴロしているときもなります。救急車を呼ばないといけないこともあります。

黒板とパンダ

熱中症の原因と中医学の見方

熱中症の原因は、暑さや湿度、水分や塩分の不足です。暑さや湿度が高いと、体から熱が出にくくなります。水分や塩分が不足すると、血液の量や流れが悪くなります。

中医学では、暑さは外から入ってくる悪い気であり、水分や血液を減らし、エネルギーを上げすぎると考えます。湿度は水分の流れを邪魔する悪い気であり、エネルギーと血液の流れを止めると考えます。水分や塩分の不足は水分や血液が枯れてしまうことです。

これらの原因によって、体は以下のような具合が悪くなります。

  • 暑さ:エネルギーが上がりすぎて、心や頭がおかしくなる。意識がなくなったり、頭痛や吐き気などが起こる。
  • 湿度:エネルギーと血液の流れが止まる。だるさや眠気、筋肉のつっぱりやしびれなどが起こる。
  • 水分・塩分の不足:水分や血液が枯れる。喉が渇いたり、目が乾いたり、肌がカサカサしたりする。
  • 血液の不足:エネルギーと血液が減る。めまいやドキドキ、息切れや顔色が悪くなる。

熱中症の診断と中医学的な診断法

熱中症は、以下の2つのポイントで判断します。

  • 体温:体温計で測ったり、手で触ってみたりして高いかどうか判断します。一般的には37.5℃以上が目安です。
  • 意識:声をかけてみて反応があるかどうか判断します。一般的には意識がなかったり、おかしかったりする場合は重症です。

中医学では、熱中症の診断には4つの方法を使います。

  • 見る:顔色や舌の色、肌の状態などを見ます。顔色が赤くて舌の色が黄色くて肌がカサカサしている場合は暑さが強いと判断します。顔色が青白くて舌の色が白くて肌がぬるぬるしている場合は湿度が強いと判断します。
  • 聞く:声や呼吸の音、心臓の音などを聞きます。声が高くて呼吸や心臓の音が早くて強い場合はエネルギーが上がりすぎていると判断します。声が低くて呼吸や心臓の音が遅くて弱い場合は水分や血液が不足していると判断します。
  • 聞く:自分で感じていることや具合が悪くなった経緯などを聞きます。頭痛や吐き気、めまいなどの心や頭の症状がある場合は心や頭がおかしくなっていると判断します。だるさや眠気、筋肉のつっぱりやしびれなどの筋肉の症状がある場合はエネルギーと血液の流れが止まっていると判断します。
  • 触る:手首の脈を触ってみます。脈が速くて強い場合はエネルギーが上がりすぎていると判断します。脈が遅くて弱い場合は水分や血液が不足していると判断します。

熱中症の分類と中医学的なタイプ

熱中症は、軽い方からⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と3段階に分けて判断します。

  • Ⅰ度:水分や塩分が少し足りなくなって起こるもので、手足のしびれや筋肉のつっぱりなどがあります。意識は普通です。
  • Ⅱ度:水分や塩分がかなり足りなくなって起こるもので、頭痛や吐き気、めまいなどがあります。意識はぼんやりしています。
  • Ⅲ度:水分や塩分がほとんどなくなって起こるもので、意識がなかったり、ショックになったりします。意識はおかしくなっています。

中医学では、熱中症は暑さと湿度が体に入ってきて、水分や血液を減らすことで起こると考えます。暑さと湿度の強さや水分や血液の不足の程度によって、以下のようなタイプに分けられます。

  • 暑さ:暑さが強くてエネルギーが上がりすぎて、心や頭がおかしくなるタイプです。顔色が赤くて体温が高くて意識がおかしかったりする。Ⅲ度に相当します。
  • 湿度:湿度が強くてエネルギーと血液の流れが止まるタイプです。顔色が青白くて体温は普通か低くてだるさや眠気などがある。Ⅰ度に相当します。
  • 水分・塩分の不足:水分や塩分が足りなくて水分や血液が枯れるタイプです。喉が渇いたり目が乾いたり肌がカサカサしたりする。Ⅱ度に相当します。
  • 血液の不足:水分や塩分が足りなくてエネルギーと血液が減るタイプです。めまいやドキドキ、息切れや顔色が悪くなる。Ⅰ度に相当します。

熱中症の治療法と中医学的な方法

熱中症の治療法は、以下のようなものがあります。

  • 応急処置:涼しい場所に移動し、体を冷やし、水分や塩分を補給することです。意識がなかったり、呼吸や脈が止まったりする場合は、救急車を呼ぶことです。
  • 薬物療法:水分や塩分の補給だけでは足りない場合は、点滴や輸液などで水分や塩分を補うことです。また、頭痛や吐き気などの症状に対しては、解熱剤や消化剤などを服用することです。
  • 入院治療:重度の熱中症の場合は、入院して医師の診察や検査を受けることです。意識障害やショックなどの重篤な合併症がある場合は、集中治療室で治療を受けることです。

中医学的な方法は、暑さと湿度を除き、水分や血液を補うことです。以下のような方法があります。

漢方薬:熱中症のタイプに応じて漢方薬を服用することです。
・暑さが強い場合は清暑益気湯(せいしょえききとう)が用いられます。
・湿度が強い場合は勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)が用いられます。
・水分・塩分の不足の場合は麦味参(ばくみさん)が用いられます。
・血液の不足の場合は健胃顆粒(けんいかりゅう)が用いられます。

  • 食事療法:食事療法は水分や血液を補う効果があります。
    ・暑さが強い場合は清涼な食べ物や飲み物を摂ります。例えば、スイカやトマト、レモンやミントなどがおすすめです。
    ・湿度が強い場合は利尿作用のある食べ物や飲み物を摂ります。例えば、メロンやキュウリ、緑茶やコーヒーなどがおすすめです。
    ・水分・塩分の不足の場合は水分やミネラルの豊富な食べ物や飲み物を摂ります。スポーツドリンク、果物や野菜などがおすすめです。
    ・血液の不足の場合は鉄分やビタミンB群の豊富な食べ物や飲み物を摂ります。例えば、レバーやほうれん草、納豆や卵などがおすすめです。

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